公立、過疎地、雪国……不利な条件満載でも、彼らは「普段はパッパラパーだけど、野球だけは本気だった」(女子マネ)。「奇跡のナイン」に惚れ込み、追いかけ続けた中村計氏による『金足農業、燃ゆ』が発売。春のセンバツ高校野球が中止になった今こそ読みたい、カナノウの「その後」の物語。
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2018年夏は「カナノウ」の夏だった
「どんな内容(の本)になるんですか?」
「ありのままかな」
「……発刊禁止になりませんよね?」
吉田輝星(こうせい)(日本ハム)は、本気とも冗談ともつかない顔でそう心配していた。
2018年夏は「カナノウ」の夏だった。秋田県立金足農業高校は、秋田大会から甲子園決勝までの全11試合を3年生9人だけで戦い、全国準優勝。金農フィーバーを巻き起こした。
彼らは特別な9人ではなかった。秋田市、潟上市、南秋田郡の3つの近隣地域から集まっていたに過ぎない。「雑草軍団」というチームのニックネームの由来もそこにあった。
高校野球の世界は2000年代に入ってから強豪私学の時代になった。決勝で対戦した大阪桐蔭に代表されるように資金が潤沢な私学がスポーツに本腰を入れたら、様々な制限がある公立は到底かなうはずがない。公立高校の甲子園出場自体が珍しくなり、そのチームが上位進出するのはさらに稀なことになった。
「不利のデパート」のようなチームが起こした奇跡
ところが2018年は、公立というハンディだけでなく、過疎地、雪国、農業高校、非エリートという「不利のデパート」のようなチームが甲子園の常連校、横浜、近江、日大三といった強豪校を次々となぎ倒し、頂点まであと一歩というところまで駆け上がったのだ。現代高校野球において、この活躍は奇跡と言ってもよかった。
彼らのことを存分に書きたい――。そんな欲望にかられたのは、ある日のインタビューがきっかけだった。その日はエースの吉田、「4番・サード」の打川和輝、「7番・ライト」の菊地彪吾(ひゅうご)の3人を同時に取材した。
「自分ら、凶悪な集団だと思われてるんで」
バックネット裏に建てられた部室の2階に畳敷きのスペースがある。30畳ほどの空間の真ん中に大きな座卓が2つ並んでいた。そこへ3人が「失礼します!」と大きな声で入ってきた。
そして、まるで雑談をするかのように奔放に語り始めた。
吉田「自分ら、凶悪な集団だと思われてるんで」
彪吾「練習試合とかしても、ヤジしか言わないんで」
吉田「デッドボール当てたらやばいよね。コラ、みたいな」
彪吾「吉田、くそにらみますよ。こいつ、バットぶん投げましたよ」
吉田「バッターボックス出て、おいって。チームメイトにやめろって言われて下がりましたけど」
――監督とかに怒られないの?
打川「逆に喜ぶ」
吉田「それが金足だろうっていうのもある」
凶悪な集団って……。そう口にしている彼らが、まったく凶悪に見えないのがおもしろく、思わず吹き出してしまった。
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March 12, 2020 at 04:30PM
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