愛知県中部の131の事業所に工業用水を供給している水道の川にある取水施設「明治用水頭首工(めいじようすいとうしゅこう)」で大規模な漏水が起こり、県によりますと18日5時前から全く取水ができなくなりました。今のところ復旧のめどは立っておらず、県は浄水場にためている水がなくなり次第、給水が止まる見込みだとしています。
愛知県によりますと17日未明、愛知県豊田市にある矢作川から水を引き込む県の工業用水の取水施設で大規模な漏水が起こり、仮設のポンプを設置するなどして対応に当たってきましたが、18日4時45分ごろには全く取水ができなりました。
県によりますと、今のところ復旧のめどは立っておらず、下流にある浄水場に、ためている水がなくなると、事業所への給水が止まる見込みだとしています。
この水道は、豊田市や刈谷市、安城市など西三河地域の12の自治体にある131の事業所に工業用水を供給していて、多くは自動車関連の大企業の事業所だということです。
愛知県は、取水口を管理する東海農政局に対して、十分な取水量を確保できるだけの仮設ポンプの設置を求めるとともに、水道を利用している事業所に影響が出ないか、把握を急ぐことにしています。
【影響】自動車メーカーや部品メーカー
愛知県で発生した工業用水の供給トラブルを受けて、自動車メーカーや部品メーカーでは、工場で使用する水に井戸水を活用するなどの対応をとっています。

また節水につなげようと愛知県豊田市の本社や市内の工場などで働く事務職の従業員に対し、18日以降できる限り在宅勤務を行うよう呼びかけました。
自動車部品メーカーの「デンソー」は、刈谷市や安城市などにある6つの生産拠点でこの工業用水を使用していますが、現在はためている水や井戸水などを活用し、生産は通常どおり行っているとしています。
自動車部品メーカーの「豊田自動織機」も5つの工場でこの工業用水を使っていますが、現在はタンクにためている水を使っていて、工場は通常稼働だとしています。
【影響】発電所では運転停止するところも
いずれの発電所も石炭とバイオマスを燃料とする火力発電所で、中部電力の管内に電力を供給しています。経済産業省は2つの発電所は出力が大きくないことに加えて、電力の需要が多い時期ではないため、電力需給に影響はないとしています。
また、火力発電事業者JERAが運転する愛知県碧南市にある「碧南火力発電所」でも給水が止まっているということです。ただ発電所で貯めているタンクの水を使うことで5日間程度は運転を続けられるため、今のところ発電に影響はないとしています。
【影響】農業用水も供給停止 田植え前の時期に
この地域は稲作が盛んで、田植え前の水が必要な時期に供給が止まったということで、県などで対策を進めています。
【仕組み】問題が起きた取水設備とは

「頭首工」は、水位を調節する水門で、これを閉じることで川の流れをせき止めて水位を上昇させ、水門の手前にある取水口に水を流し込む役割を果たしています。
しかし、17日未明に水門の下の川底に何らかの原因で穴が空き、大量の水が、水門の下をくぐるように下流に流れ出ている状態になったということです。
このため、水門を閉じても水位が上がらず、取水口で水をくみ取れなくなっているということです。
【原因は】東海農政局次長“川の地下に水通る道できた可能性”
そのうえで「川の地下に水が通る道ができてそこに水とともに土砂が流れ込みだんだん大きくなったのではないか」と話し、水の道を防ぐための対策については「検討中で一日も早く行いたい」と話すにとどまりました。
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