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鹿児島・大崎事件、再審開始認めず 発生から44年 - 毎日新聞

再審が認められず「不当決定!」と書かれた紙を掲げる弁護士=宮崎市で2023年6月5日午前11時1分、吉田航太撮影
再審が認められず「不当決定!」と書かれた紙を掲げる弁護士=宮崎市で2023年6月5日午前11時1分、吉田航太撮影

 鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42歳)の遺体が見つかった「大崎事件」で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、殺人罪などで懲役10年が確定して服役した原口アヤ子さん(95)の再審を認めない決定を出した。再審請求を退けた鹿児島地裁決定(2022年6月)を支持し、弁護側の即時抗告を棄却した。原口さんの再審請求は今回が第4次。第1~3次の請求で地裁・高裁が計3回、再審開始を決定したが、その後に上級審が取り消すという異例の経過をたどってきた。

 即時抗告審の争点は、遺体で見つかった男性の死因と死亡時期だった。確定判決は死因を「他殺」と認定したが、犯行があったとされる時刻よりも前に男性は泥酔して側溝に転落しており、弁護側は「事故死だった」と主張した。

大崎事件の第4次再審請求審の主な争点
大崎事件の第4次再審請求審の主な争点

 原口さんの義弟だった男性は79年10月15日、自宅横の牛小屋で堆肥(たいひ)に埋まった状態で遺体で見つかった。司法解剖の結果、死因は他殺による窒息死と推定された。男性には原口さんを受取人にした死亡保険金が掛けられており、県警は「保険金殺人」を視野に捜査。原口さんと当時の夫ら親族3人が殺人容疑などで逮捕、起訴された。

 原口さんは一貫して関与を否定し、親族3人は関与を自白した。鹿児島地裁は80年3月の判決で、79年10月12日午後11時ごろ、原口さんと親族2人が共謀して男性宅で男性の首をタオルで絞めて窒息死させ、別の親族を加えた4人で牛小屋に遺体を遺棄したと認定。保険金目的については「証拠が不十分」として認めなかったが、原口さんに懲役10年、親族3人に懲役1~8年を言い渡した。原口さんは最高裁まで争ったが、81年に有罪が確定した。

 原口さんは服役を終えた後、95年に再審を請求。「男性は事故死だった」と主張し、第1次の地裁と第3次の地裁、高裁は再審開始を決定したが、上級審が取り消した。

原口アヤ子さん=2023年5月24日(大崎事件弁護団提供)
原口アヤ子さん=2023年5月24日(大崎事件弁護団提供)

 第4次請求は20年3月に原口さんの長女が申し立て、弁護側は男性の死因や死亡時期についての新証拠として救命救急医の鑑定書などを提出した。鑑定は、男性が側溝への転落事故で頸髄(けいずい)を損傷し、飲酒や低体温症の影響もあって壊死(えし)した腸管から大量出血したと指摘。住民2人が男性の首を保護せずに軽トラックの荷台に乗せて運んだために頸髄損傷が悪化し、自宅到着時には既に死亡していたとした。

 だが、鹿児島地裁は22年6月、この鑑定書などを「無罪を言い渡すべき明らかな証拠には当たらない」として、弁護側の請求を棄却。弁護側が即時抗告していた。【志村一也】

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